基礎知識
「評価制度がない会社」がぶつかる3つの壁
社員数が20人を超えたあたりから、社長の口数が増える相談がある。「最近、誰の給料をいくら上げるか、自分一人で決めるのが怖くなってきた」。これが、評価制度づくりの典型的なきっかけだ。
当社の顧問先で同じ相談を何度か受けるうち、評価制度のない会社でよく出る壁はおおむね3つに分かれると感じるようになった。たいてい、同じような順で現れる。
1つ目の壁 給料の決め方を、自分でも説明できない
最初に来るのはこの壁だ。社長の頭の中では「あいつはよく働いている」「あいつは伸びしろがある」と判断が動いているが、社員に「なぜ○○さんが私より高いのか」と聞かれたとき、言葉にできない。
説明できないものは、不満の温床になる。気づくと、似た仕事をしている2人の間で月1万円の差がついていて、しかもその差の根拠が誰にも分からない、という状態になっている。
2つ目の壁 辞める社員の理由が「人間関係」になる
評価制度がない会社で退職面談の話を聞くと、辞める理由はだいたい「人間関係」か「キャリアの不安」のどちらかに収束する。本当の不満が、別の言葉に置き換わって出てくることが多い。
「○○さんと合わなかったので辞めます」の裏に、「自分の評価が低くて、給与も伸びる気配がなかった」という納得感の問題が混ざっている、というのはよくある話だ。退職理由が言葉にならない会社は、次の対策も打てない。
3つ目の壁 採用面接で「うちの昇給は」と聞かれて固まる
最後の壁は、採用の場面で来る。少し能力のある候補者は、必ず聞いてくる——「御社では、どれくらい働いたら、どれくらい昇給するんですか?」。
ここで「人による」「頑張り次第」と答える会社には、いい人ほど入ってこない。逆に、「うちは○等級の社員が平均で年○万円上がる」と即答できる会社には、計画的にキャリアを考えるタイプの人が集まる。
3つの壁は、当社の体感で言うと、社員数20人台で表面化し、40人前後で採用や昇給の説明にまで広がっていくことが多い。一気に3つやってくる会社もある。
壁にぶつかってから慌てて作るより、ぶつかる前に「うちはこういう考えで給料を決めている」という1枚紙でも持っておく方が、はるかに楽だ。