評価運用・面談
評価面談で「話すこと/話さないこと」
評価面談は、人事制度の中で最も社員の不満を生みやすい場面だ。半期に1回しかない貴重な対話なのに、ここで間違えると半年分の不信感を貯めることになる。
当社の管理職研修でも、面談で迷う場面は決まっている。何を話すべきで、何を話さないか、整理しておく。
話すこと
話すべきは、事実と、それに対する解釈、次の半期にやってほしいこと。この3つだ。
「4月に○○さんに任せた案件、納期2週間オーバーで終わった。これは△△の判断が遅れたことが原因と私は見ている。次の半期では、判断に詰まったら48時間以内に相談する、というのを試してみてほしい」
事実と解釈をきれいに分けるのがコツ。社員が「自分はそう思っていない」と言える余地を残すと、対話になる。
話さないこと
避けたいのは、実名を出した他社員との比較と、人格そのものへの評価だ。
「○○さんと比べて、君は遅い」「君は基本的に消極的な性格だから」——この種の話は、面談を一発で台無しにする。人格を直接否定する発言はパワーハラスメントにも該当しうるため、管理職研修でも明確に注意する点だ。
理由は単純で、社員から見ると反論しようがないからだ。比較される相手が見えない、人格は変えようがない。逃げ場のない指摘は、聞いた本人の中で「不当な評価」として固定される。
なお、等級や職務の基準と照らした比較——「指導役の等級としては、判断のスピードがまだ足りない」のような基準ベースの話——は別物で、これは評価面談で必要な要素になる。
似た系統で、評価期間を大きく超えた過去の蒸し返しもやめておく。原則は、評価期間内の事実を扱う。
判断に迷う話
迷うのは、家庭の事情に踏み込むか、他部署からの伝聞をどう扱うか、昇給の話を面談中にするか、の3つくらいだ。
家庭の事情は、本人が話した範囲と、業務上必要な配慮確認にとどめる。こちらから踏み込んで「子育てで時間取れてる?」と聞くと、答えたくない社員には負担になる。
伝聞は、原則として面談で扱わない。「営業部の○○さんがこう言っていたよ」を持ち出すと、社員は防御的になる。伝聞は別の場で確認する。
昇給の金額そのものを面談で言うかは、会社のルールによる。当社では、昇給額は給与通知書で別途出す方式を中小企業の顧問先に勧めている。理由は、面談の主題が「給料いくら?」になってしまうのを防ぐためだ。
面談は、社員に「自分はちゃんと見られている」と感じてもらう場であって、評価結果を通告する場ではない。何を話さないかを決めておくと、何を話すべきかが自然に絞られてくる。